自転車の交通事故における過失割合や損害賠償金|交通事故に強い大阪の法律事務所 - 弁護士法人えん

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自転車の交通事故における過失割合や損害賠償金

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自転車は子どもから大人まで多くの人が利用する乗り物ですが、乗り方1つで加害者にも被害者にもなってしまいます。では、実際に自転車で交通事故に遭った場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

そこで今回は、自転車で交通事故に遭った方からよく寄せられるお悩み「過失割合」「損害賠償金」「事故から解決までの流れ」を中心に解説いたします。

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自転車の交通事故における過失割合

交通事故では、「過失割合」が重要な鍵を握ります。過失割合とは、被害者と加害者それぞれにどのくらい過失があったかを示すものです。10:0や7:3などの数値で表され、その割合に応じて損害賠償金を支払います。

交通事故においては加害者側にのみ過失があると思われがちですが、状況によっては被害者にも過失が認められます。なお、どちらがどのくらいの割合になるかは、契約している保険会社を通じて話し合うのが一般的です。そして、双方が同意してはじめて過失割合が確定します。

過失割合の判断基準

過失割合は、交通事故を起こした本人や目撃者の証言、走行状況など様々な材料を集めた上で判断します。とくに、以下4点は重要な判断基準となります。

①交通事故の相手の移動手段

交通事故を起こした相手が自動車・バイクに乗っていたのか、それとも歩いていたのかによって過失割合が変わります。基本的には立場の弱い方が有利であるため、相手が自動車やバイクであれば自転車の過失割合は低くなり、相手が歩行者であれば自転車の過失割合は高くなります。

②交通事故を起こした場所

交通事故を起こした場所が交差点の場合は、信号機や徐行義務など他の場所より多くの規則が考慮されるため、状況に応じて過失割合が大きく変動します。一方、住宅街では歩行者が優先されるため、どのような状況であれ自転車側の過失割合が高くなりやすいです。

とくに横断歩道上で歩行者と交通事故を起こした場合、自転車側の過失割合はほぼ100%になってしまいます。横断歩道上は歩行者の安全が確保されている場所であるため、自転車側の非が大きくなってしまうのです。

③信号機の色

交差点や横断歩道では、事故当時に信号機が何色であったかが重要視されます。仮に赤信号を無視して交通事故が起こった場合、無視した側の過失割合が大幅に跳ね上がります。また、原則停止とされている黄色信号も、赤信号と同様のルールが適用されます。

④事故を起こした時間帯

自転車の場合、交通事故を起こした時間帯が夜間だと過失割合が高くなります。自転車は自動車やバイクと違ってライトの光が弱く、暗所だと視認性が下がってしまいます。ゆえに、自転車側の過失が大きくなりやすいのです。

自動車・バイクと交通事故を起こした場合の過失割合

自動車・バイクとの交通事故では、自転車の方が有利になります。自転車は走行スピードが遅く、相手に怪我を負わせるリスクが低いため、自動的に自動車・バイク側の過失が大きくなるのです。もちろん、過失割合が自動車・バイクを超えることもありますが、自転車側に100%の過失が認められるケースは少ないです。

 

事故状況(信号機ありの交差点) 自転車の過失割合 自動車・バイクの過失割合
自転車:青信号で進入
自動車・バイク:赤信号で進入
0 100
自転車:赤信号で進入
自動車・バイク:青信号で進入
80 20

 

事故状況(信号機なしの交差点) 自転車の過失割合 自動車・バイクの過失割合
同じ道幅の道路にて出会い頭の衝突 20 80
同じ道幅の道路にて自転車がスマホを見ながら運転していた 30 70
自動車・バイク側にのみ一時停止規則がある 10 90
自転車側にのみ一時停止規則がある 40 60
自転車:広い道路から進入
自動車・バイク:狭い道路から進入
10 90
自転車:狭い道路から進入
自動車・バイク:広い道路から進入
30 70
自動車・バイクが優先道路を走行していた 50 50
自転車が優先道路を走行していた 10 90
自動車・バイクが一方通行を逆走していた 10 90
自転車が一方通行を逆走していた 50 50

 

自転車同士が交通事故を起こした場合の過失割合

自転車同士は対等な立場であるため、お互いが交通ルールを守っている、または対向方向に進行している場合、過失割合は50:50になります。ただし、携帯電話やイヤホンの使用、2人乗りなど著しい過失があった場合は、10~30%程度の修正が入ります。

 

事故状況(信号機ありの交差点で出会い頭の衝突) 被害者の過失割合 加害者の過失割合
被害者:青信号で進入
加害者:赤信号で進入
0 100

 

事故状況(信号機なし・一時停止ありで出会い頭の衝突) 被害者の過失割合 加害者の過失割合
加害者側に一時停止規則ありの交差点 30 70
加害者側に一時停止規則ありの丁字路交差点 25 70

 

事故状況(信号機と一時停止規制なし・同じ道幅の交差点で出会い頭の衝突) 左方車の過失割合 右方車の過失割合
交差点 45 55
丁字路交差点 40 60

※信号と一時停止規制がない、同幅員の交差点においては左を走行している者が優先となる。

 

事故状況(自転車同士が同一方向に進行している状態での衝突) 被害者の過失割合 加害者の過失割合
被害者:一方向に進行していた
加害者:前方の自転車を追い抜こうとした
0 100
被害者:加害者側の後ろを走行していた
加害者:進路を変更しようとした
40 60
被害者:加害者側の後ろを走行していた
加害者:右もしくは左に曲がろうとした
35 65

 

歩行者と交通事故を起こした場合の過失割合

対歩行者の場合は、自転車の過失割合が高くなります。とくに歩行者の安全が確保されている横断歩道上で交通事故を起こした場合は、自転車に100%の過失があると認められるケースが多いです。

 

事故状況(信号機ありの交差点・横断歩道上) 自転車の過失割合 歩行者の過失割合
自転車:赤信号で交差点へ進入
歩行者:青信号で横断
100 0
自転車:赤信号で交差点へ進入
歩行者:横断中に赤信号に変わり、衝突された
100 0
自転車:青信号で交差点へ進入して右(左)折した
歩行者:青信号で横断
100 0
自転車:青信号で交差点へ進入して右(左)折した
歩行者:赤信号で横断
40 60

 

事故状況(信号機なし・横断歩道上) 自転車の過失割合 歩行者の過失割合
自転車:横断歩道を通過しようとした
歩行者:横断歩道を歩いていた
100 0

 

事故状況(車道での衝突) 自転車の過失割合 歩行者の過失割合
車道の通行が許可されている場合 90 10
車道の通行が許可されていない場合 75 25

 

過失割合が変更される条件

飲酒運転や2人乗りなど著しい過失がある場合、一般的な過失割合に当てはめるのは不適切だと判断され、数値が変更されます。基本的には「修正要素」と呼ばれる条件を元に、数%から数十%の調整を行います。

 

修正要素の例
  • 夜間
  • 児童、高齢者
  • 幹線道路
  • 住宅街、商店街
  • 集団横断
  • 2人乗り
  • 大型車
  • 酒気帯び運転
  • 携帯電話の操作

 

自転車で交通事故を起こした場合の損害賠償金

自分が被害者の場合は、加害者に対して「損害賠償金」を請求できます。損害賠償金とは、交通事故によって被った損害(治療費や精神的ダメージなど)をお金に換算したものです。

自転車の交通事故では、治療費や傷害慰謝料、死亡慰謝料、後遺障害慰謝料などの名目で相手へ損害賠償金を請求できます。

誰に損害賠償金を支払ってもらうか

本来なら事故を起こした加害者に支払ってもらうのですが、相手が保険に加入している場合は保険会社から損害賠償金が支払われます。

事故相手の移動手段が自動車・バイクの場合

自動車保険、バイク保険などの任意保険

相手が自動車保険やバイク保険などの任意保険に加入していた場合は、保険会社から損害賠償金が支払われます。加害者の金銭事情に影響されないため、損害賠償金が未払いのままといったトラブルが起こりにくいです。

自賠責保険

自賠責保険はケガに対する補償のみで物損は対象外となるため、自転車の修理代は加害者本人へ請求する必要があります。また、上限金額が120万円と決まっており、十分な支払いがなされない場合も。なお、後遺障害が認定された場合には別途補償金が支払われます。

無保険

相手が任意保険にも自賠責保険にも加入していなかった場合は、事故を起こした本人へ損害賠償金を請求します。

政府補償

相手が自賠責保険に加入していなかった場合、被害者は政府から損害賠償金を受け取ることができます。なお、支払われる金額は自賠責保険の基準に沿って決定されます。

 

損害の種類 任意保険あり 自賠責保険のみ 無保険
人身損害 治療費(通院交通費、入院費用なども含む)
休業損害
慰謝料

※120万円まで
×
※政府補償制度を利用
逸失利益
後遺障害慰謝料
※後遺障害等級が認定された場合

※事故前の収入・年齢・等級などに応じた金額が支払われる
×
※政府補償制度を利用
逸失利益
死亡慰謝料
葬儀費用
※被害者が亡くなった場合
×
※政府補償制度を利用
物的損害 自転車の修理代
着衣の損害(服やバッグなど)
×
※事故相手本人に請求
×
※事故相手本人に請求

 

事故相手の移動手段が自転車・徒歩の場合

自転車保険、個人賠償責任保険などの任意保険

相手が自転車保険や個人賠償責任保険などの任意保険に加入していた場合は、保険会社から損害賠償金が支払われます。

無保険

事故相手が任意保険に加入していなかった場合は、事故を起こした本人へ損害賠償金を請求することとなります。

 

損害の種類 任意保険あり 無保険
人身損害 治療費(通院交通費、入院費用なども含む)
休業損害
慰謝料
×
※事故相手本人に請求
逸失利益
後遺障害慰謝料
※後遺障害等級が認定された場合
×
※事故相手本人に請求
逸失利益
死亡慰謝料
葬儀費用
※被害者が亡くなった場合
×
※事故相手本人に請求
物的損害 自転車の修理代
着衣の損害(服やバッグなど)
×
※事故相手本人に請求

 

過失相殺の例

交通事故では加害者側と被害者、双方に過失が発生することもあります。この場合、加害者のみに事故による損害を負担させるのは妥当とはいえません。公平を期すため、民法第722条2項では「過失相殺(かしつそうさい)」といって、加害者が支払う損害賠償金額から被害者の過失割合分を減額すると定めています。

例えば、自転車の過失が20%、相手へ請求する損害賠償金が100万円だとします。この場合、100万円×(100%-20%)で計算を行い、最終的に相手が支払う損害場賞金は80万円となるのです。

 

要チェック!交通事故後の対応、できていますか?

突然交通事故に見舞われた場合、どのような対応をしていいのか分からずパニックになってしまうこともあるでしょう。しかし、冷静に対処しなければ結果として自身が損をする可能性があります。交通事故後、正しい対応ができているか今一度チェックしておきましょう。

事故現場で示談を迫られた場合

事故現場で相手から示談を持ち掛けられたら、必ず断りを入れてください。同意してしまった場合、不当な内容であっても決定した事項に従わなければならなくなる危険性があります。

つまり、示談交渉後に重篤な怪我や後遺症が発覚しても、損害賠償金を後から請求できなくなる恐れがあるのです。損をしないためにも、その場での示談には応じないようにしましょう。

警察へまだ届け出をしていない

交通事故を起こした場合は、警察への届け出が必要です。これは道路交通法で定められている規則であり、違反すると3ヶ月以下の懲役または罰金刑が科せられることもあります。また、警察への届け出が行なわれていないと、加入している損害保険が使用できなくなる恐れもあります。

それだけでなく、損害賠償金の請求において重要な役割を果たす「交通事故証明書」が発行されません。その結果、損害賠償の請求が極めて困難になる恐れもあります。自転車の事故であっても警察へ通報しましょう。

痛いのに病院に行っていない

体に痛みを感じるのであれば、忙しくても病院へ行きましょう。交通事故から病院へ行くまでの期間が空いてしまうと、保険会社から事故と治療は無関係だと判断され、保険金が支払われない可能性があります。ケースによっては、損害賠償金が一切支払われないということも。そのため、交通事故で怪我を負った場合は早めに病院を受診してください。

保険の確認をしていない

自転車の損害保険に加入していないとしても、自宅の火災保険やお車の保険に付帯する特約が使えるケースがあります。

これらの保険を使うことで、示談交渉をスムーズに進め、また、示談金を増額できる可能性があります。加入を忘れている方もいらっしゃいますので、必ず確認しておきたい項目です。

 

まとめ

自転車が関わる交通事故の過失割合や、損害賠償金についてご紹介しました。

適正な過失割合、損害賠償金の算出は専門知識がなければ難しいものです。

交通事故についてご不安やご不明点があれば、当事務所までご連絡ください。

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この記事の著者

吉村 歩

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